2013年6月24日月曜日

日本建築史⑤_寺院建築

過去問は、
問題コードが赤字のものは×問です。簡単に解説をつけておきます。詳しくは合格物語へ。

古代寺院
14242
薬師寺東塔(奈良市)は,三手先の組物を用い,裳階が付いた三重塔である.
17242
法隆寺東院伝法堂は,桁行が7間であるが移建前は5間であり,聖武天皇橘夫人の邸宅の一屋を移して建立したものと考えられている.
17245
新薬師寺本堂は,一重,寄棟造りであり,前面1間を吹放しとしている.
(問題文は新薬師寺ではなく唐招提寺の特徴、奈良時代建造の現存金堂としては唯一のもの、新薬師寺本堂も奈良時代の建造ですがもとは別院の仏堂だった?新薬師寺の特徴は合格物語へ)

オマケで
17244
三仏寺投入堂は,修験の道場として山中に営まれた三仏寺の奥院であり,岩山の崖の窪みに建てられた懸造りである.
がありますが、この年(H17)は、
17241・・光浄院客殿   ←この問題は,収録過去問題に類似しない新出問題です.
17242・・法隆寺東院伝法堂←この問題は,収録過去問題に類似しない新出問題です.
17243・・竜吟庵方丈   ←この問題は,収録過去問題に類似しない新出問題です.
17244・・三仏寺投入堂  ←この問題は,収録過去問題に類似しない新出問題です.
17245・・新薬師寺本堂  ←この問題は,収録過去問題に類似しない新出問題です.
と、オール新問。全て国宝建造物ですが、正答率は?
正答枝は17245ですが、出題意図は不明です。


ちなみに、国指定文化財等データベース(文化庁)の情報では
竜吟庵方丈 うぎあんほうじょう
三仏寺奥院(投入堂) さんぶつじおくのいん(なげいれどう)
です。念のため。

中世寺院
大仏様/浄土寺浄土堂・東大寺南大門
09251
浄土寺浄土堂は,重源によって建立された大仏様(天竺様)の建築である.
05252
挿肘木」と「大仏様(天竺様)」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.
14244
浄土寺浄土堂(兵庫県小野市)は,海老虹梁を用いた禅宗様(唐様)の建築である.
(蝦紅梁を用いた禅宗様→大仏様)
19241
浄土寺浄土堂(兵庫県小野市)は,太い虹梁と束を積み重ねて屋根を支える構造の大仏様(天竺様)の建築物である.
22022
「天竺様(大仏様)」の特徴として,組物は,柱頭だけでなく柱間にも並び,組物間の空きが小さいことから詰組みと呼ばれている.
(詰組は天竺用ではなく禅宗様の特徴
12254
東大寺南大門とは,天竺様(大仏様)建築の建築様式である

禅宗様/円覚寺舎利殿
09254
円覚寺舎利殿は,禅宗様(唐様)の建築の例である
05253
「海老虹梁」と「禅宗様(唐様)」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.
22023
「唐様(禅宗様)」の特徴である,上部が曲線をなす開口部は火灯(かとう)と呼ばれ,鎌倉時代後半に初めて用いられている

ここは、大仏様と禅宗様という鎌倉時代初期にあらわれた二つの様式だけです。
(それ以降は出ていません。たぶん。)
大仏様は、平安末の平重衡の南都焼討で焼失した東大寺再建のために採用された様式ですが(現存の大仏殿は江戸時代再建のもの)、余り流行らなかったようで純粋な様式として残っているものは浄土寺浄土堂と東大寺南大門ほか数例しかない。
なのでいつも登場します。
特徴は構造が単純明快で合理的なこと。
部材が規格化(同寸の断面寸法)されていて種類が少なく、少ない材料で架構を構成しているということがあります。
それまでの様式(和様)は柱の上に組物を積むように構成されていましたが、大仏様では挿肘木にするなど異質の技術体系の導入でした。
一方禅宗様も独自の新様式ですが、和洋と比較して細部が繊細で装飾的な要素が多いという特徴があります。

【omake】
組物  出三斗分解図
上記のように柱の上にあって軒を支える仕組みを、組物あるいは斗栱(ときょう)といい、方形の斗(ます)と、長い肘木()とから構成されます。いろいろな形式がありますが、原理としては斗と肘木とを交互に組合せ、前方に持ち送りとして深い軒を支えます。
これが、大仏様では柱の側面に肘木を挿す挿肘木となります。

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