2013年9月26日木曜日

部門(ゾーン)のククリ

H21年度から試験内容の見直しが行われ。
「設計課題(設計対象の建築物)」に関し、異なる機能を複合させた建築物を出題する従来の方式を改め、比較的シンプルな用途の建築物(主たる機能の部門とこれに関連する部門からなる建築物)とするなど、ゾーニングや部門間の動線に関する設計条件を簡素化する出題となった「設計製図の試験」。

具体的には、
H21年貸事務所ビル」(1階に展示用の貸しスペース、基準階に一般事務用の貸スペースを計画する)
要求室には、
・ショールーム(受付を設ける)・・・展示用の貸しスペースなので外部から直接出入りがフツー。
・喫茶室(要、屋外に面したカフェテラス)・・・外部からの直接出入りの特記はないのでビルの玄関ホールからの出入りで良さそう。外部の人は使用しないとも書かれていないので事務所部門へ入口(EVホール)にはセキュリティゲート設置。

計画に当たっての留意事項に
お約束の、ゾーニングや動線計画の記載はナシ。
(配慮しなくていいわけではないでしょうけれど)

H22年「小都市に建つ美術館」
要求室には、
・ワークショップの場としてアトリエ・・・美術館ので関連部門と考えて問題ない。
・レストラン・・・外部から直接アプローチできるようにする特記あり。エントランスホールに面しての入口を設け、来館者が館内から入れるようにする。

計画に当たっての留意事項は
公開部門と非公開部門とを適切にゾーニングし、来館者動線、職員動線及び搬入経路が交叉しないような計画とする。

展示部門が2階の指定なので、共用部門の末端が展示部門としてククレます。
ゾーニングイメージ
課題文条件は、公開部門(展示部門と共用部門と)を適切にゾーニングということなので、公開部門がククレていれば条件を充たすのですが、展示部門だけもククレています。
H22標準解答例①
H22標準解答例②

H23年「介護老人保健施設」(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である)
要求室に老健以外のものはなし。

計画に当たっての留意事項は、
施設利用者部門と管理部門を適切にゾーニングし、明快な動線計画とするとともに、避難等に配慮する。

H24年「地域図書館」(段床形式の小ホールのある施設である)
要求室に集会部門として、
・小ホール(講演会、映画上映会、各種発表会等)
・展示ギャラリー(多目的に利用)
・会議室(会議、セミナー、ワークショップ等)
が要求されていますが、これらの要求室は図書館の機能に加えて設けられるものとされているので、複合用途というより学習施設としての図書館機能を補完するものと考えられます。
なので、集会部門としての入口(受付等)を設ける必要はなさそう。案内等は図書館部門のサービスカウンターでも事務室でもいいのだと思います。
図書館部門の要求室も◯◯スペースとか△△コーナーとなっていいて、閲覧“室”要求ではないのでワンルームを什器等のレイアウトで区画するのでよさそう。

計画に当たっての留意事項には、
図書館部門、集会部門及び共用・管理部門を適切にゾーニングし、明快な動線計画とするとともに、避難等に配慮する。
H22のような利用者部門というククリ(ゾーニング)ではなく図書館部門、集会部門をククルように指定されています。
また、共用・管理部門をゾーニングするというのは、共用部門と管理部門は分けて、
おのおのククルと読み取るのだと思います。
典型的なククリのイメージは、
エントランスホールをはいったところで図書館部門利用者と集会部門利用者の動線を分けてしまう方法。
H24_ゾーニングイメージ
なのですが、
標準解答例は、①が1階が図書館部門(一部2階)、2階が集会部門。
②は、1階が地域住民の学習や交流の場である集会部門、2階が図書館部門。
どちらも原則、階別ゾーニングして計画されています。
平面図で見ると
H24標準解答例①
H24標準解答例②
ククリの成立がわかりにくいのですが、
分子モデルのようにして、つながりをモデル化してみると
H24標準解答例①
共用廊下を芯にして、図書館部門、集会部門のククリが成立していることをイメージしやすいと思います。

2 件のコメント:

  1. 去年の解答例、全然ククれて無いのでは…(ー ー;)?と思ってましたが、なんと!立体視すれば、まとまってるのがわかりますね!!
    sato先生、すごすぎ(°_°)

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    1. こんにちは。
      Σ( ̄。 ̄ノ)ノなんてっ。
      標準解答例を見てのイメージなんです。
      ぜんぜん違うのかもしれない(^^;;
      試験中は気づきませんでした。
      おだてられると調子に乗るタイプなんで、頑張ります。オーエン(^_-)

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