2014年5月27日火曜日

作品問題_日本建築史

合格物語で検索すると(H3〜H23)日本建築史の出題は13問。
問題文のわかる範囲で列記すると、
H4
【04251】妙喜庵待庵
【04252】慈照寺東求堂の同仁斎は,四畳半茶室の起源といわれる.
【04253】桂離宮
【04254】大徳寺の孤蓬庵忘筌は,小堀遠州作の茶室である.
【04255】二条城二の丸殿舎の黒書院には,押板床・違棚・付書院をもつ上段の間がある.

H5
【05251】「棟持柱」と「神明造り」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.
【05252】「挿肘木」と「大仏様(天竺様)」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい
【05253】「海老虹梁」と「禅宗様(唐様)」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい
【05254】「中門廊」と「寝殿造り」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.
05255「渡殿」と「書院造り」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.

H9
【09251】浄土寺浄土堂は,重源によって建立された大仏様(天竺様)の建築である.
09252妙喜庵待庵は,小堀遠州作の書院茶室である.
【09253】桂離宮は,江戸時代に造営された数奇屋造りの代表例である.
【09254】円覚寺舎利殿は,禅宗様(唐様)の建築の例である.
【09255】日光東照宮の社殿は,本殿と拝殿との間を石の間でつなぐ権現造りの例である.

H11
【11251】金閣は足利義満が造営した北山殿の一部であり,最上層を禅宗様仏堂の形式とし第2層に和様仏堂風・初層に住宅風の建築様式を用いている.
【11252】銀閣と同じ敷地に建つ東求堂(とうぐどう)の同仁斎(どうじんさい)は,現存する最も古い違い棚と付書院をもつ「四畳半」である.
11253金閣や銀閣は,敷地の南側の庭や池を「コの字型」に囲んだ寝殿造の建築物のうち,釣殿が残ったものである.
【11254】金閣や銀閣が建てられた時代には,能楽・茶の湯・生け花・連歌・水墨画.・枯山水の庭園といった日本の伝統文化がその形を整え,建築にも大きな影響を与えた.
【11255】金閣や銀閣が建てられた時代には,武家住宅に床の間・違い棚・付書院などの座敷飾りが用いられるようになり,書院造が発展し今日の和風住宅の原型が形成された.

H12
【12251】アヤ・ソフィア(イスタンブール)
12252】凱旋門(パリ)
【12253】桂離宮
【12254】東大寺南大門とは,天竺様(大仏様)建築の建築様式である.
【12255】テンピエット(ローマ)


H13
【13251】日光東照宮社殿(栃木県)は,本殿と拝殿との間を石の間でつなぐ権現造りの例である
【13252】西本願寺飛雲閣(京都府)は,外観,内部ともに住宅風に造られており,軽快で奇抜な意匠が施されている.
【13253】姫路城(兵庫県)は,小丘を巧みに利用して構築された平山城で,優美な外観が特徴である
【13254】厳島神社社殿(広島県)は,宮島の海浜に設けられたもので,自然美と人工美が巧みに調和している.
13255出雲大社本殿(島根県)は,正面の片方の柱間を入口とした非対称の形式をもつ中門造りの神社建築の例である.

H14
【14241】パルテノン神殿(アテネ)
【14242】薬師寺東塔(奈良市)は,三手先の組物を用い,裳階が付いた三重塔である.
【14243】ノートルダム大聖堂(パリ)
14244浄土寺浄土堂(兵庫県小野市)は,海老虹梁を用いた禅宗様(唐様)の建築である.
【14245】アルハンブラ宮殿(グラナダ)

H15
15241沖縄県にある今帰仁城跡や首里城跡等の歴史的な資産は,琉球地方独自の文化遺産として2000年にユネスコの世界遺産に登録されている.
【15242】佐賀県の有田町は,江戸時代以来の町家を保存し,活用するとともに,耐火煉瓦塀の復元や裏通りの整備等のまちづくりを進めている.
【15243】サッポロファクトリー
【15244】京都文化博物館の別館
15255東京国立近代美術館の工芸館

H16
16251江戸時代における居住施設に関して,農家は,地方により架構や平面が異なり,東北地方の南部曲り家においては,馬を家の中で飼育できるようになっている.
【16252】江戸時代における居住施設に関して,商家は,町家の一つであり,今西家(橿原市今井町)のように,表通りに面し,片側が土間で奥に座敷を設けたものがある.
【16253】江戸時代における居住施設に関して,寺院の塔頭等においては,茶室を設ける場合があり,如庵は,京都の建仁寺内に織田有楽斎が建立したとされる.
【16254】江戸時代における居住施設に関して,公家の社会においては,王朝文化を反映した別荘等が造営され,桂離宮はその代表例である.
16255江戸時代における居住施設に関して,武士の住居には,主として,書院造りが用いられ,二条城二の丸御殿の白書院,黒書院等はその代表例である.(図版

H17
17241光浄院客殿の平面は,「匠明」の殿屋集に描かれている「主殿の図」とほぼ同じであり,桃山時代の標準的な武家の住宅の形式を示すものと考えられている.
【17242】法隆寺東院伝法堂は,桁行が7間であるが移建前は5間であり,聖武天皇橘夫人の邸宅の一屋を移して建立したものと考えられている.
【17243】竜吟庵方丈は,東福寺の塔頭であり,現存する最古の方丈といわれている.
【17244】三仏寺投入堂は,修験の道場として山中に営まれた三仏寺の奥院であり,岩山の崖の窪みに建てられた懸造りである.
17245新薬師寺本堂は,一重,寄棟造りであり,前面1間を吹放しとしている.

H18
18251】「神明造り」とは,切妻造り,平入りとし,柱はすべて掘立て柱を用い,2本の棟持柱があり,平面四周に高欄付きの縁をめぐらす形式である.
18252「大社造り」とは,切妻造り,平入りとし,前殿と後殿とを連結し,両殿の間に生じた屋根の谷に陸樋を設ける形式である.
【18253】「住吉造り」とは,切妻造り,妻入りとし,平面は前後に外陣・内陣に分かれ,前後に細長い形状であり,回り縁・高欄がない形式である.
【18254】「春日造り」とは,切妻造り,妻入り,丹塗りとし,正面柱間は1間のものが多く,土台を設ける形式である.
【18255】「権現造り」とは,拝殿と本殿を相の間で連結し,拝殿と本殿は入母屋造りのものが多く,相の間の屋根は両下りである形式である.

H19
【19241】鹿苑寺金閣(京都市)は,方形造りの舎利殿で,最上層を禅宗様仏堂風,二層を和様仏堂風,初層を住宅風とした三層の建築物である.
【19242】鹿苑寺金閣(京都市)は,方形造りの舎利殿で,最上層を禅宗様仏堂風,二層を和様仏堂風,初層を住宅風とした三層の建築物である.
【19243】伊勢神宮内宮正殿(三重県伊勢市)は,東西に隣接する南北に細長い二つの敷地のうち,式年遷宮によって交替で一方の敷地を用いて,造替が繰り返されてきている.
【19244】アルハンブラ宮殿(グラナダ)
19245サン・ピエトロ大聖堂(ヴァチカン)

H22
【22021】「神明造り」の特徴として,切妻屋根の棟の上に棟と直交する円形断面の堅魚木が並び,棟の両端に斜めに突き出した千木がある.
22022「天竺様(大仏様)」の特徴として,組物は,柱頭だけでなく柱間にも並び,組物間の空きが小さいことから詰組みと呼ばれている.
【22023】「唐様(禅宗様)」の特徴である,上部が曲線をなす開口部は火灯(かとう)と呼ばれ,鎌倉時代後半に初めて用いられている.
【22024】「寝殿造り」の特徴として,寝殿の左右や後ろに造られた独立の住屋は,対屋と呼ばれ,渡殿で連結されている.

建築史や作品問題は、建築物ないし建築様式の特徴の組合せが正しいかどうかという問題。こういう問題は、知っているかどうかで、考えて答えが導きだせる問題ではないので知らないものは勘でマークするしかなさそうなんですが・・。

問題文は、ほぼほぼ断定で「・・である」という形式でつくられてますが、
H17年は、微妙なところで問題を作成していて、
桃山時代の標準的な武家の住宅」なんていっても遺構は残ってないし、
法隆寺東院伝法堂」も、法隆寺東院資材帳(天平宝宇5年(761))に「橘夫人宅奉納」と記されているので、おそらくそう考えられているだけ。(否定する資料はないので多分そうなんだろうという感じ
竜吟庵方丈」も合格物語の解説では
[方丈]:高僧の接客と日常生活に機能する施設をいう.
となっていますが、日本建築史図集だと
>本来の塔頭の中心的建築は塔を祭るための昭堂であって、方丈は守塔比丘の住居に過ぎなかった。方丈はのちに塔頭の中心施設として性格を変えてゆくのであって、現存する方丈の大部分は変化後の姿を示している。応仁乱以前の古制を残す例としては竜吟庵方丈一つあるだけである。・・
文化庁の国指定文化財等データベースの解説だと
竜吟庵は東福寺の塔頭の一で、この方丈は嘉慶元年(一三八七)に建てられた。
現存最古のの(原文ママ)方丈。中央前面の間(室中)正面を壁とし仏壇を設けないなど,近世の標準的な方丈形式に達する前の古式を伝えている。前面に蔀戸を用い,側面にも扉を開くなど寝殿造りにも通じる構成も方丈の古い形式と考えられ,貴重である。
ということで、方丈でもいいのかもしれないけれど・・みたいなニュアンス。
なので問題文も歯切れが悪く「といわれている」にしているのかもしれない。
まあ、問題そのものは、
日本の歴史的な建造物に関する次の記述のうち、最も不適当な物はどれか。
で【17245】があきらかな間違いなので問題はないのですが。
10年に1度くらいこういう意欲に溢れた?出題があって、最近では
【24124】の原さん自邸の問題文。
住居の中に「都市を埋蔵する」構成を意図した住宅
といわれている
本当ですかぁ?
と突っ込みそうになったのはナイショです^^;;;
コレは、ご本人が発表した雑誌に解説で書かれていたことではあるのだけれど、
ぶっちゃけトークだと、思いつきのキャッチフレーズだとか?

過去問は落とせないとはいっても、あまり神経質にならないで
さらっと流しておくくらいでいいものもあると思います。

4 件のコメント:

  1. 24年の問題って、2番が立体最小限住宅のことを言ってると、解れば、正解出来た問題だったんですよねー。
    と、最近やっと解りました(笑)
    こんな問題、手も足も出ないわーと、試験中は思ってたけど
    (みんなの反応もそうだった覚えがあるのですが)
    そうじゃなかったんだーと。

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    1. こんにちは。
      立体最小限住宅は池辺陽。
      問題文で言っているのは増沢洵のケーススタディハウス(伊東邸)では?
      こういう問題は、知らないとどうにもならないのですが。
      24013はみんな知ってる。
      24014も割と有名。
      24121はビミョーででが、
      24122は9坪ハウスの原形でちょっと話題になってた。
      (ウラ模試にも出たし)
      知ってたらラッキーくらいでいいんだと思います。

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  2. うわー
    こうして書き出して頂くと
    ありがたい(^ω^)!

    原さんの自邸は部屋の中に
    都市をつくるという発想が
    不思議でした。。。
    京都駅そっくり、な気がして
    調べてみたら
    京都駅も原さんでした。。。
    (閃いたのは本当ですよ〜)

    歴史的建築物って
    〜といわれている、という
    表記でしか作れないことが
    多いんですね。。。
    解釈が分かれると問題にならない
    から 難しいのかもしれません
    σ(^_^;)

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    1. こんにちは。
      ん〜^^;、「といわれている」みたいな問題文は
      10年に1度くらいしか出てこないので
      あまり深入りしない方が・・
      というつもりで書いたのですが。
      何も「といわれている」でなければ作れないところで問題作らなくても
      出すところは他にたくさんあるでしょう。
      と思いますみたいな。

      1問1答でやっていると
      あれっ?本当ですか??
      みたいな問題文でも、
      四枝の中で見れば「最も不適当」とは言えない
      なという感じ。

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