2014年6月9日月曜日

Low Emissivity_8:(終日日射量)

建築士試験で出た日射量の問題。
合格物語で検索すると、アレッ?ということが・・(今ですか)
H19、H22、H25の問題文では、
【19041】【22061】【25062】では、北緯35度のある地点において、
と位置が限定され、
て、ただし、終日快晴とし、他に日射を妨げる要素は無いものとする.
と条件が書かれていますが、その前はどうだったんだろうという疑問が?

【12024】なんか、
我が国の快晴の夏至日における単位面積当たりの終日日射量は,
という問題文です。
つーことは、利尻島でも石垣島でも成り立つ話のハズ。
(本当ですか?)

合格物語の解説では、最初の問題の解説に、

合格物語資料拝借
の図があって、後の問題はコレによればみたいで説明が同じ、
あんまり親切な内容じゃ・・・(^-^;;;
(オットシツレイシマシタ、冗談ですm(_ _)m

当てにならない直感でも北と南では違う気がする。

少し考えてみると・・・
【12025】の解説にもありますが、日射には直達日射と天空日射とがあり、
(太陽が天頂にあるときの直達日射量)=(大気透過率)×(太陽定数≒1.37kW/㎡)
さらに、
【22061】の解説の通りで、太陽高度がθのときの法線面直達日射量は、太陽が天頂にあるときの直達日射量のsinになります。
(水平面直達日射量)=(法線面直達日射量)×sinθ
例えば、
太陽高度が60°のときは、sin60=√3/2 = 0.866倍に、
太陽高度が30°のときは、sin30=1/2 = 0.5倍になります。
太陽が高い方が水平面の受ける日射量は大きい、逆に鉛直面日射量はcosなので、太陽高度が低い方が受ける日射量は大きくなります。そりゃそーだです。
なんですが〜、
【23063】の解説にあるとおりで、夏至と冬至とでは可照時間が違います。
前に計算しましたが(→方位別可照時間)夏至の可照時間は緯度が高くなる(北にいく)と長くなります。逆に冬至のときは緯度が低くなる(南にいく)ほうが可照時間は長くなります。
この日射量と可照時間のバトルがあるので恰好の試験問題作成ポイントになっています。
(本当ですか?)

で、いろいろ調べたところ・・
資料集成(現行のではなく前の版(1978年版))にありました。
いろいろ書かれていますが、見ればわかる図を抜粋すると、

夏至の晴天日の時刻(標準時)ごとの日射量は
夏至晴天日の日射量
左:札幌(43.1°N、141.3°E)、中:東京(35.7°N、139.8°E)、右:那覇(26.2°N、127.7°E)
となっています。
各時刻の日射量は太陽高度により変化し、その最大値(グラフの頂点の値)が南中時の日射量。終日日射量はそれぞれ水平面、東・西面、南面のグラフの面積になります。
なので、南中時日射量は
札幌850(W/㎡)、東京900(W/㎡)、那覇930(W/㎡)と南の方が大きいのですが、可照時間が長いことにより終日日射量(面積)は若干札幌の方が大きい感じ。
え”〜、と思いましたが、こういう時期は夏至頃だけ。太陽高度は夏至で最大になり徐々に下がってくるので、すぐに南の方が終日日射量は大きくなります。

実際には毎日晴天などということはないですし、日射量は天候(雲の量)により大きく変わります。AMeDASデータの実測値を見ると、
上記3都市間では、1月〜4月の終日日射量が多いのは東京(冬の東京は晴天が続きますが、那覇は曇りがち)です。
5月、6月は札幌が最大。太陽高度が高いため三都市間で日射量に差がないのと、本州以南は梅雨で日照時間が少ないためだと思います。
7月から12月は那覇が最大。年間を通してみればやはり那覇の日射量が一番多くなっています。ナットクの結論でした…^^;

という整理をして過去問を見てみます。
まず夏至日。
【08063】【14042】夏至の終日日射量は,水平面がどの向きの鉛直面より大きい.
【14044】夏至の日の終日日射量は,南向き鉛直面に比べて,東向き鉛直面のほうが大きい.
050420806112024快晴の夏至日における単位面積当たりの終日日射量は,南向き鉛直面よりも東向き鉛直面のほうが小さい
08062夏至の終日日射量(ある面が1日に受ける日射エネルギー量)は,西向き鉛直面のほうが東向き鉛直面より大きい
は、緯度にかかわらずいえるようです。

冬至の日射量は、
冬至晴天日の日射量
左:札幌(43.1°N、141.3°E)、中:東京(35.7°N、139.8°E)、右:那覇(26.2°N、127.7°E)
となり、こちらの過去問も、
【08064】【14041】冬至の終日日射量は,南向き鉛直面のほうが水平面より大きい.
【08065】【14043】【25062】冬至の終日日射量は,南向き鉛直面のほうが西向き鉛直面より大きい.
14045】冬至の日の終日日射量は,東向き鉛直面に比べて,西向き鉛直面のほうが大きい.
こちらも緯度にかかわらずいえるようです。
まとめると、
緯度によらず、
・夏至の水平面が最大
・夏至のときは、東(西)面>南面
・東面=西面
・冬至のときは、南面>東(西)面
となります。

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