2016年5月13日金曜日

風が吹けば・・・

環境工学で点数が稼げるかどうかはわからないですが、ヘアードライヤーというものがあります。文字通り髪を乾かすのに使用するものですが、ファンとヒーターとで構成されています
【ドライヤーのしくみ】(≠いちゃもんm(_ _)m
この吹出した温風を毛髪にあてて乾かすのですが・・・


一般論ですが、湿ったものの乾燥では

定率乾燥期間→減率乾燥期間
という段階が現れます。
乾燥速度(含水率の時間変化)
 定率乾燥期間:含水量が時間とともに一定速度で減少
 減率乾燥期間:含水率が減少するにつれて減少速度が徐々に低下
 平衡含水率:乾燥がそれ以上進行しない含水率

イメージとしては、濡れている状態が定率乾燥期間、生乾きというのが減率乾燥期間という感じ。定率乾燥のときの表面には常に水があり、その水の温度が湿球温度になっています。この水と空気との伝熱を考える基礎的なモデルが、環境の【15035】で出題された境界層なのですが、高校物理ではやらないので、大学で熱工学でも専攻しない限り縁がないと思います。
*ヒーターを製作している会社のHPの技術情報に説明がありました。興味のある方は・・
(→http://www.heat-tech.biz/category/products-nh/nh-gj/science-of-the-drying/
出ませんよー^^;)
この境界層というのは工学的なモデルなのですが、モデル化することで熱力学の基礎式(ナビエ−ストークスの式)を境界層方程式に簡略化できるので、これを解くと乾燥速度と温度分布を求められます。
*解いてみたい方は、東京工業大学化学工学専攻 伊東研究室のHPに常微分方程式解法シート(君にも解ける境界層方程式)が公開されているのでExcelで解けます。
(→http://chemeng.in.coocan.jp

髪の毛(毛髪1本1本)のモデルというのがイメージしにくいので、何かテキトーな乾燥の事例はないかと探していたら、建築学会の梗概集に
『実測に基づく室内干し時における洗濯物の乾燥時間および室内温室度環境』
という研究発表がありました。(http://www.kidsdesign.jp/labo/pdf/08/datasheets.pdf

洗濯物を室内干ししたときの乾燥時間を実測したものなのですが、
 1.干すだけ
 2.換気扇(給気は屋外から)を使用する
 3.換気扇(給気は屋内から)を使用する
 4.換気扇(給気は屋内から)を使用し、さらに扇風機も利用する
 5.暖房をする
 6.除湿器を使用する
と条件を変えて比較をしています。冬季(外気温5℃、湿度80%)の夜間に乾かそうとすると、1、2、3、5では朝までに乾きません。(3、5の乾燥時間はほぼ同じで16〜17時間)
4の換気&気流が約10時間、6の除湿器使用が7時間となっています。
効果があるのが、除湿と気流。日常感覚で、空気が乾燥していたり風のある日は洗濯物が早く乾くというのは、単身赴任のおとーさんとかなら実感していそう。
ジ、ジョークですm(_ _)m
何となく乾燥の過程で起こっていることがイメージできそうなので、P代表のアウトプットトレーニング問題を考えてみます。

ドライヤーというのはノズルにあるヒーターで、空気を加熱して送風しているのですが、この加熱した気流で濡れた髪に顕熱を与えるということもありますが、ヒーターで相対湿度が下がった乾燥した気流を送風し、髪の近傍の飽和水蒸気の境界層のまわりの湿度を下げていることもあります。髪表面の飽和水蒸気と送られた乾燥した空気(気流)との水蒸気の濃度差が乾燥時間を左右していそうです。(差が大きくなれば早く乾く)
また、気流により境界層の厚みは薄くなるのですが(風速の平方根に反比例なのですが、何となくはイメージできます)薄くなることでも蒸発速度が速くなります。
かなり大雑把な仮定をしていますが、おおよそこんなところっぽい。ん〜、出ないな^^;;;

蒸発を科学的に考えようとするとかなり複雑な現象のようで、更に対象が毛髪だとスーパーコンピュータでシミュレートでもしないと水が毛髪表面から徐々に拡散しつつ(おそらく拡散速度も位置によって違うのだと思います)蒸発潜熱の熱移動もしているストーリーは説明できないのかも・・・本当ですか???

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